言語の市場価値

Masatoさんが書かれている「LegacyFree」というBlogを読んだ。非常に濃い内容で、また考えさせられることがたくさんあった。

「インドのシリコンバレーから 19 〜日本語の強さ、日本の強さ 〜」では、言語の強さについて「国際的なビジネス世界の中でその言語を持っていることが自分の市場評価を図る上でどれほどの割合を持っているか」と定義した上で、

「言葉」の市場価値というものは、その国の経済力、強さに大きく依存しているということです。私が日本で生まれ、育っていなければ、今、この会社で働いているということはありません。日本人であるということが今の私の最大の価値だからです。

 私が重宝される理由は、日本が強いからです。しかし、アメリカに居るときに、私は日本人であることをなるべく、そぎ落とすことに必死でした。「そんなの不平等だ、俺は独りでたくましく、母国に依存せずにやっていくんだ」と。アメリカ人しか住んでいない寮に入り、マディソン日本人会にも参加せず、日本人の交換留学生とも交流しませんでした。日本に電話をしたことは”一度も”ありません。チャットもありません。

 しかし、迷ったときにgoogleで無数の日本語の論文を調べることが可能でした。素晴らしい日本の教科書を親から送ってもらうことも可能でした。日本の通貨”円”がドルに劣らない価値を持っていることにも常に助けられました(インドを考えてください)。シリコンバレーに行ったとき、日本人で活躍している方々とお会いする事が出来ました。インドのビザを取るのに中国人では6ヶ月60ドルかかるところを、日本人であるがために3日8ドルで住みました。私は国費の奨学金を約100万円ほど正規交換留学のために貰いました。もちろん、返還する必要はありません。

このように説明している。すごくシンプルで当然のような論理だけれども、自分は言語というものについて「コミニュケーション」という以上の事は考えたことが無かったなあと、目を見開かせてくれたような気持ちになった。自分も海外で仕事がしたいという気持ちを強く持っているから、ここ1,2年は英語を真剣に勉強するようになったが、このような視点で言語の価値を捉えると、もっともっと英語を学ぶことの重要性を認識できたかもしれない。

また、「12 〜Offshoreの問題点〜」 では、offshoreの問題点として「言葉の違い」を真っ先に取り上げ、これもまた当たり前だと思ってしまうかもしれないけど、見落としがちな重要なことを示唆していると感じた。言葉、文化、宗教、そういったものをすべて乗り越えた先にOffshore開発体制の成功があるのだろう。

現在の状況を見ると、どんどんITへの不信感が増大しているのではないだろうか。

  • ベンダーは(特に大手は)顧客からのコスト削減要求に明確に答えられない。⇒首が回らないほど大きなシステムを作っちゃって、運用費でがっぽり稼いでる。
  • ユーザーサイドも何を作ったら効果があるのかを把握できていない。⇒ここをロジカルにやろうとしていない。

という悪循環がどんどん回り、いらん物を作っては莫大な運用コストに頭を悩ませ、その削減のために莫大なコンサル費用と改修費用を支払い・・・
そうなってくると「開発の単価」への見方がシビアになり、好むと好まざるとに関わらずオフショア開発を選択しなければならない状況になっていくのだろう。

先手先手でのオフショア開発ならうまくいくかもしれないのに、ユーザーもベンダーも後手後手の現状では、どんどん状況はひどくなりそうな予感すらある。

なんとかこういう状況を打開する一助になりたいなあと思う今日この頃でした。